技術部長挨拶(平成23年度)

技術部長 電子工学専攻 教授 北野正雄

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 工学研究科技術部では、約40名の技術職員が、それぞれ、総合建設、設計・工作、分析・物質科学、情報、環境・安全・衛生の5つの技術室に配属され、教育、研究支援活動を行っています。2008年に開設された桂ものづくり工房をはじめとして、WEBを利用した技術相談、物品貸出など、ユーザのニーズに応えるべく新たなサービスを展開しています。技術職員は特定の専攻や設備に配置される場合でも、上記いずれかの技術室に所属し、研究科全体としての業務や研修などの活動に協同的に参画しています。このような活動を通して、また関係各位のご尽力により、技術職員の組織化は着実に進んできており、徐々にその成果を挙げています。

 2012年秋には待望の物理系の桂キャンパス移転を控えていますが、技術部としても、この新たな配置への対応、とりわけ吉田における学部教育への配慮が重要になると考えられます。特に学生実験の支援の充実が求められています。さらには、大学の社会貢献としての高大連携や社会連携活動への寄与も重要になってくると思われます。

 2011年3月11日の未曾有の大災害は、われわれに向かって、科学技術の上に精緻に組み立てられた社会のあり方について、根源的なレベルからの再考を突きつけています。技術の高度化に反比例するかのように、技術の軽視や空洞化が進行し、経済的要因を何よりも優先させる仕組みが蔓延しています。すべての事柄を紙の上だけで管理しようとする風潮を押しとどめないと、社会の安定は得られないと考えられます。工学教育の現場である工学部、工学研究科においても、机上の空論ではない、科学、技術の本質に直接触れる教育を行うことで、直近の次世代がより良い方向へと舵を切るための指針や考え方を確実に伝えてゆく必要があると感じています。技術部は、このような教育環境の重要な一隅を担う技術集団として活動を進めて行きますので、よろしくご支援をお願いします。